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人気音楽系YouTuberぱくゆうさんの意外な本音に迫る!

”視聴者に応援されながら、貶されながら一緒に上がっていく”

著者:MuseMate編集部  2022/10/29  無料

特集「音楽家のYouTube活用」。今回は登録者3万6500人を超える人気YouTuberであり、シンガーソングライターのぱくゆうさんをお迎えする。昨今のようにYouTubeの収益性が注目される以前から発信を続けているぱくゆうさん。「格闘ゲームのプロゲーマーがモデル」「音楽家とYouTubeの掛け算は起こり辛い」など、独自のスタイルを築き上げたベテランならではのお話を存分に伺った。

シンガーソングライターとしての活動を告知するチャンネルにはしたくない

ぱくゆう:シンガーソングライターと名乗っていろいろな音楽活動をしております。ぱくゆうと申します。

今は音楽の仕事、音楽周りの仕事みたいなことでなんとか細々と生きているんですけども、主なお仕事に関してはミュージカルのシンセサイザーのマニピュレーターをやっていたりとか、あとは専門学校で講師をしていたりとか、YouTubeの収入であったりとか、そこから繋がった色々な案件で報酬をいただいたりとか、そういった感じでやっております。 あとは副業的にじゃないですけれども、YouTubeをやっていたことが繋がって映像系のお仕事もしていたりします。

MuseMate運営(以下、MM):今日は「音楽家のYouTube活用」というテーマでお話を伺うのですが、ぱくさんはYouTubeはいつ頃、なぜ始められたのですか?

ぱくゆう:2016年の1月1日から今のメインのチャンネルをスタートしました。動機としては、2年間くらいやっていた仕事が次の3月でなくなることがわかっていて、だいぶ暇になるし、やることを自分で増やさないといけないなと。だらだらしていてもよくないから、自分に締め切りを課すという意味で定期的に動画をアップしようと思ったのがきっかけですね。

MM:シンガーソングライターの活動は、YouTubeを始める前からされていたのですか?

ぱくゆう:そうですね、ライブ活動はちょこちょこしてましたけど、まあお金になっているのは他の活動って感じですね。昔も今もずっと。

MM:YouTubeを始めた頃は、シンガーソングライターとしての活動をアップしていこうという感じだったのでしょうか? それとも、音楽活動とは関係なく個人的なVlog?

ぱくゆう:音楽に関係することをやろうとは思っていましたが、自分のシンガーソングライターとしての活動を告知するようなチャンネルにはしたくないと思っていました。

YouTubeを始める前に半年くらい色々と調査をして、どういう形でSNSでの活動を広げていくのがいいかなと思ったときに、YouTubeは将来的に収益化ができる、そこでお金を稼げる可能性があるというのと、とはいえ自分の作品をメインコンテンツにしてYouTubeをやるのはメリットが少ないかなという考えに至って。だから、シンガーソングライターが色々な音楽について語るみたいな、そういうものをなんとなくイメージしていました。

「1000人と4000時間」収益化のハードルはまだなかった

MM:今だと、YouTubeを始める初期のモチベーションって収益化条件である「1000人と4000時間を目指して頑張るぞ」というのが当たり前になっていますが、当時は収益化できるということも確定していなかった感じですか?

ぱくゆう:いや、むしろ僕が始めたときは収益化のハードルがものすごく低かったんですよ。収益化自体は誰でもできるようになっていて、今みたいに1000人だったり4000時間だったりっていうハードルが全くなくて、申請をしてそれが受理されれば収益化スタートするという時代でした。ただ、今よりYouTubeの視聴者自体は少なかったです。

MM:先見の明ですね。もともと新しいもの好きなところがあったのですか? それとも、色々とリサーチした結果なのでしょうか?

”プロゲーマー”がロールモデル。過程を見せるスタイル

ぱくゆう:うーん、なんでYouTubeだったのかな。色んな所にアンテナは張っていたんでしょうね。

自分がYouTubeを観るなかで結構参考にしていたのが、格闘ゲームのプロゲーマー。彼らを結構モデルにしていて。各国で転戦して賞金で食べていくみたいな、そういう人たちなんですけど、その人たちが自分の練習の過程やゲームに対するHow Toみたいなものをいろんなプラットフォームで発信して、そこで軍資金と言いますか、活動資金を得て、視聴者に応援されながら貶されながら一緒に上がっていくみたいな。そういうのが音楽家にも当てはめられるんじゃないかということはイメージしていましたね。

MM:なるほど、面白いですね。音楽家だと作ったものやライブ映像をYouTubeにあげようという人が多かったなか、格闘ゲームのプロゲーマーがロールモデルだから今のぱくゆうチャンネルのスタイルが生まれたのですね。

ぱくゆう:僕はあの形はすごくいいなという感触があって、まだ何者でもない自分にすごく合ってるんじゃないかなっていう。

MM:視点の切り替えですね。最近は"プロセスエコノミー"なんかが話題になりましたが、それをかなり早い段階からやっていたのがプロゲーマーの世界であり、ぱくゆうチャンネルだったのですね。

欅坂46の楽曲分析がヒット! チャンネルを支える2本の柱

MM:今現在、登録者は3万6500人くらい。ここまで来るのに色々あったと思いますが、伸び始めたきっかけは何かありますか?

ぱくゆう:えっと、2016年の3月~4月くらい、始めてから3か月くらいの時に、アイドルグループの「欅坂46(現:櫻坂46)」というグループがデビューして、その楽曲をたまたま耳にしてかっこいいなと。『サイレントマジョリティ』という曲だったんですけど、ここがかっこいいとか、ここにビビッと来たんだみたいなことを、ただ好き勝手語る動画をアップしたところ、急に人が僕のチャンネルに出入りするようになって。主にアイドルグループのファンだったりとか、同じようにその曲を良いなと感じた人たちだと思うんですけど。それで楽曲分析という企画が一本立って、それを定期的にやって人が増えていきました。

あとはもう一つ、その年の秋口くらいからコンピューターでの音楽制作、DTMの機材選びをまとめた動画がちょっと伸び始めて。2本の柱が出来て、それぞれを伸ばしながらここまで来たっていう感じですね。

MM:それらの企画は今でも続けていらっしゃいますよね。逆に最近と昔とで変わったことはありますか?

ぱくゆう:やっぱり今は発信する人がものすごく増えたので、僕が始めたときと比べると、コンテンツ数が増えたからそのぶん視聴者が分散してということもあります。

あと、僕って結構"天邪鬼"なところがあるので、皆がやりだすとちょっとやりたくなくなるみたいなこともあって(笑) 今はちょうど数字的にも伸び悩んでいるし、方向性としてもどうしようかなという、結構迷っている時期ではありますね。

MM:発信する人が増えたというのはきっかけがいくつかあると思いますが、ぱくさんのように長年YouTubeをやっていて感じることはありますか? この頃から人が増え始めたな、とか。

ぱくゆう:あーでもやっぱりYouTubeが稼げるみたいな情報が色んなところに出回りだしたじゃないですか。それに比例して「いけるんちゃうか」みたいな人が増えていっている印象ですね。

増え続けるプレーヤーはライバル? それとも……

MM:音楽家がYouTubeチャンネルをやるとき、単に自分がいつもやっている音楽活動を載せるパターンと、もう少しYouTube適応させた動画コンテンツを載せるパターンに大きく分けられると思います。

個人的にはカジサック以前以後みたいなのがある気がしていて、2018年頃からプロがYouTubeでエンタメをやるのが当たり前になった感じがします。少し遅れてコロナも来るのでその流れに拍車がかかる。

音楽家って、昔からライブハウスでの映像をYouTubeに載せるというのは普通にやっていたと思うのですが、YouTube向けの動画を作る人が2018年辺りから増えたかなと。

ぱくゆう:たしかにそうですね。あとは音楽系の、ポピュラー音楽を中心に取り上げるチャンネルとか、DTMをやるチャンネルのなかには、僕と同じ時期に始めて継続的に発信をしていた人が何人かいて、そこに結果が数字で表れ始めた時期が、多分2017年~18年くらい。気が付いたらあいつ登録者1万人いるぞとか、めっちゃ再生されてるぞという人が何人か出てきて、それを見て「こいついけるんだったら俺だっていける」というのでやり始めた人も多いんじゃないですかね。

MM:わかります。僕も少なからずありました(※インタビュアーもYouTubeチャンネルを運営しており、2022年10月現在2万人の登録者を抱えている)。

ぱくゆう:僕の時はロールモデルと言うか、同じことをやっている人がまだいなくて、見つけられてなかっただけかもしれないけど、僕は知らなかったので、ひとつ確立されたスタイルとか、ある程度成功しているケースというのがあって、その中で「俺がやったらもっといける」という感じでどんどんプレーヤーが増えだしたのかもしれないです。

MM:ぱくさんから見て、プレーヤーが増えていくのは良いことだと思いますか? それとも、昔と変わっちゃったなという感じ?

ぱくゆう:音楽系に関しては、いかんせんパイの取り合いになっちゃうというか、僕の場合は人よりちょっと早くやってたからそれで助かってるけど、すごくターゲットが狭いので窮屈さは感じますね。

MM:そうすると、新しく増える人たちはライバルであったり、脅威に見えるというところもあるのでしょうか?

ぱくゆう:どうですかねえ。まあでも僕はもうちょっと達観してると言ったらあれですけど、こういう内容はこの人がやった方が良いよなと思ったら手を引くし、この人は今すごく頑張ってるけど、このペースじゃ続かないから僕は自分のことをコツコツやっていこうとか、そういうのはありますね。

MM:長年活動されていてご自身の軸を持っているからこその余裕もあるのでしょうね。

ぱくゆう:そうなんですかね(笑)

マスに迎合? 魂を売る? 数字との付き合い方

MM:週一以上の頻度で生配信もされていますが、これはいつ頃から始まったのですか?

ぱくゆう:配信は多分1、2年くらい経ってからだと思います。もともとスタートした時は週一投稿を目標にしてそれを守っていて、半年経った2016年の7月から毎日投稿を始めました。 動画を毎日作るのは大変だから配信の日もいれようと思ったのが最初です。

MM:生配信を始めたことによるチャンネルへの影響はどういったものがありますか?

ぱくゆう:チャンネルに対する影響はよくわからないですけど、単純に僕が勉強になることが多い。今まで視野が狭かったんだなと思うことは多いですね。

MM:数字に対してはどういうふうに考えてますか? YouTubeをやる以上伸ばしたいという思いはもちろんありつつ、登録者は少なくても別のところに意義や、ビジネス上の価値を見出す人もいると思うのですが。

ぱくゆう:どうですかね、難しいなあ。何を目的にYouTubeをやるかということで数字の捉え方は変わってくると思っていて、生計を立てるとなると数字がものすごく大事だし、音楽コンテンツを取り扱うジャンルで生計を立てていこうと考えると間違いなく魂を売らなきゃいけなくて。めちゃくちゃマスに迎合しなきゃいけないというのは感じていて、それはさっきも言ったように見てくれる視聴者の数が少ないからめちゃくちゃ浅く薄くして数をとるしかできないという。でもそれは面白くないよねという気持ちもあるから、そこのバランスですよね。

とはいえ誰にも観られないような専門性の高すぎるものはYouTubeの意味がないし、こういうところのバランスでみんな色々苦労しているのかなという感じはしますね。

MM:とはいえ3万人超えているというのはそれなりの規模だとも思うのですが、数字と付き合っていくというか、3万人が見ているところに毎日発信するというのはどういった心持ちなのでしょうか?

ぱくゆう:僕は登録者数は一応積み上げてきましたけど、アクティブな人は少ない方だと思うんですよね。 視聴回数とかも登録者に対してあまり多くないし、登録したまま忘れちゃってる人が割と多いチャンネルなのかなという気がしていて。 なのでまあ「解除しないでー」と思いながらやってる感じですけど(笑)

でもニッチなジャンルだからこそ顔がものすごく知れたというところはあって、どこに行ってもだいたい僕のこと知ってる人がいたりとか。それで仕事に繋がることもあるので、そういう状況になったのはありがたいなと思っています。

MM:タワレコとかで声をかけられたりとか?

ぱくゆう:それも何回かありますし、音楽制作系の話で、メーカーの方はだいたい僕のこと知ってるし。 アイドルのファンの方は、「あいつがどうのこうの……」というので知ってるしみたいな、そういうのはあるっぽいですね。

YouTubeはやれるならやった方がいい。ただ「なにも期待するな」

MM:これからYouTubeを始めようと思っている音楽家の方もいると思います。 そういう方に向けて何かアドバイスはありますか?

ぱくゆう:やりたきゃやりゃいいし、アカウントを作るということや動画を投稿することはやれるなら多分やった方が良い。 そこに何もないよりもあった方が良いというのは確実だと思うんですけど、ただ「なにも期待するな」と言いたいですね(笑) これが2、3年前だと、ちょっとまた感覚が違ったんですけど、もはや音楽家がYouTubeに期待できるものはないと僕は思っています。そこはもう諦めの境地ですね。

MM:なるほど、そのこころは?

ぱくゆう:労力に対して見合う見返りを作るのがめちゃくちゃ難しいです。YouTubeで成功できる人って、YouTubeはただのきっかけに過ぎず、どういうやり方であってもきっと成功していて、もともと技術があったり魅力があったりという人の、見つかるきっかけがたまたまYouTubeだったというだけ。YouTubeと掛け算ですごく伸びるみたいなことはなかなか難しいんじゃないかなと僕は思っています。

MM:とてもよく分かります。伸ばすコツとかの話になるかと思いきや、もはや何も期待するなと言う(笑)

ぱくゆう:音楽というジャンルはその世界のなかですごくなればお金がもらえるんですよ。 それに対してYouTubeでそれ以上のものを得ようというのはすごく難しくて。YouTubeのプラットフォームとしての性質と音楽コンテンツの嚙み合わせが悪いから。

最近だと格闘家がこぞってYouTubeをやっていて、僕はそもそもスポーツ好きで格闘技好きだったので、朝倉未来さんがYouTubeを始めたときから追っかけて過程を全部見てたんですけど、 格闘家はもともと食えない世界だったところをYouTubeと掛け算することで稼げるようになって、だから爆発的に盛り上がったんですよね。音楽家の場合はトップの音楽家はすでに中堅YouTuberより稼いでる。

おわりに

MM:最後に、音楽家としてのぱくさんのこれからについて是非お聞かせください。

ぱくゆう:もうめちゃくちゃ悩んでます(笑) どうしようかなと言う時期です、ほんとに。YouTubeは僕という人間、僕という音楽家の記録だというふうに思ってるので、それは続けようと思っています。 こうやって悩んでいる姿であったりとか、変わっていく姿というのもひとつのサンプルとして残したいという気持ちはあるので、YouTubeは続けるんじゃないかと思います。

MM:過程が全部あるのは面白いことではありますね。告知や宣伝、ここに行けば会えるよなどありますか?

ぱくゆう:いやもう、名前を覚えてもらえれば。検索したら何でも出てきますので(笑)

MM:本日はどうもありがとうございました!

ぱくゆう:ありがとうございました!

最近では、黒かった髪が鮮やかなピンク色に変わる瞬間も記録されているぱくゆうさんのチャンネル。音楽家として、人として日々変化し成長していく姿をぜひYouTubeチャンネルを登録して見守って欲しい。

ぱくゆうチャンネルはこちら!

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